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向井 広樹*; 廣瀬 農*; 甕 聡子*; 菊池 亮佑*; 田野井 慶太朗*; 中西 友子*; 矢板 毅; 小暮 敏博*
Scientific Reports (Internet), 6, p.21543_1 - 21543_7, 2016/02
被引用回数:136 パーセンタイル:96.59(Multidisciplinary Sciences)Cesium adsorption/desorption experiments for various clay minerals, considering actual contamination conditions in Fukushima, were conducted using the Cs radioisotope and an autoradiography using imaging plates (IPs). An aliquot containing 0.185 -1.85 Bq of Cs was dropped onto a substrate where various mineral particles were arranged. It was found that partially-vermiculitized biotite, which is termed "weathered biotite" (WB) in this study, from Fukushima sorbed Cs far more than the other clay minerals (fresh biotite, illite, smectite, kaolinite, halloysite, allophane, imogolite) on the same substrate. Cs-sorption to WB continued for about one day, whereas that to ferruginous smectite was completed within one hour. The sorbed Cs in WB was hardly leached with hydrochloric acid at pH 1, particularly in samples with a longer sorption time. The presence/absence of WB sorbing radiocesium is a key factor affecting the dynamics and fate of radiocesium in Fukushima.
向井 広樹*; 八田 珠郎*; 北澤 英明*; 山田 裕久*; 矢板 毅; 小暮 敏博*
Environmental Science & Technology, 48(22), p.13053 - 13059, 2014/12
被引用回数:113 パーセンタイル:94.5(Engineering, Environmental)福島汚染地域から採取した土壌微粒子に対しIPオートラジオグラフィーによる分析により、放射性物質を含む微粒子を抽出し、その詳細について明らかにした。微粒子のタイプは3種類あり、有機物および無機物を含む団粒構造粒子および純粋な粘土鉱物であることが分かった。これらの微粒子のTEM/SEM-EDS分析から、福島においては放射性セシウムは、主に風化黒雲母に収着していることが明らかとなった。また、収束イオンビームによる周縁部の切断と放射能量の再分析から、放射性セシウムは、その周縁部のみならず粘土鉱物中に均一に分布していることが明らかとなった。
村上 隆*; 磯部 博志; 佐藤 努; 大貫 敏彦
Clays and Clay Minerals, 44(2), p.244 - 256, 1996/00
被引用回数:55 パーセンタイル:84.77(Chemistry, Physical)オーストラリア、クンガラウラン鉱床におけるウランの再分配機構解明のため、鉱床周辺地域の母岩中に含まれる緑泥石の風化過程について調べた。その結果、緑泥石は風化が進行するにつれて、緑泥石/バーミキュライト混合層鉱物、バーミキュライト、カオリナイトと変化し、その変化の過程で、鉄やマグネシウムを容脱していることが明らかとなった。また、ここで溶脱された鉄は、鉱物粒子間や片理に鉄鉱物として再結晶化し、固化帯における主成分鉱物にまで進化していることも明らかとなった。放射性核種の地層中での移行を定量的に評価する場合には、本研究で示されるような地質学的な時間スケールでの鉱物の変質を十分考慮する必要があると考えられる。
小口 千明*; 磯部 博志; 小室 光世*; 松倉 公憲*
Annual Report of the Institute of Geoscience,Univ. of Tsukuba,No. 21, p.9 - 13, 1995/12
阿蘇火山の安山岩は、火山ガスの噴出による酸性環境の影響を受け、表面に風化皮殻が形成している。変質は、鉱物の硬度などにも現れているが、今回、顕微分光計による試料断面の色測定によって風化皮殻の構造を調べた。その結果、脱色による反射率の増加が、鉄鉱物の析出による赤褐色よりも内部まで進行していることが見いだされた。これは、脱色現象が、変質鉱物の析出よりも早く進行することを示しており、鉱物の変質現象の観察における顕微分光測定の有効性の一例を示している。
大貫 敏彦
鉱物学雑誌, 24(1), p.23 - 27, 1995/01
地層処分の安全評価上重要な、放射性核種の移行における鉱物の役割に関する最近の研究を紹介した。スメクタイトへのネプツニウムの吸着では、pH2付近で特異吸着が生じた。スメクタイトのイライト化過程において、セシウム及びコバルトが固定された。クロライトの風化過程において、ウランが鉄鉱物に固定された。また、非晶質鉄の結晶化過程においてネプツニウムが固定された。これらのことから地層は、イオン交換吸着の他にも核種移行阻止機能を有することがわかった。
柳瀬 信之; T.E.Payne*; 関根 敬一
Geochemical Journal, 29, p.31 - 54, 1995/00
被引用回数:23 パーセンタイル:46.62(Geochemistry & Geophysics)クンガラウラン鉱床中のウラン系列核種の移行挙動を研究するために、地下水中の核種濃度及び放射能比を求めた。深さ20m以浅の地下水のU/U比は1より小さく、30m以深では1より大きかった。Thはウランに比べ地下水中では非常に動きにくかった。Ra/U比から、RaはUに比べ風化帯(30m以浅)より非風化帯(30m以深)で動きやすかった。これは風化帯ではMnやFeを含む風化二次鉱物に、Raが共沈あるいは吸着されるためと考えられる。Rnは地下水中にUより3桁以上過剰に存在し、Pb/Rn比からはPbの地下水中での滞留時間約6日が推定できた。以上の結果から、クンガラウラン鉱床では、ウラン系列核種の非平衡は、酸化還元状況の反映である風化の度合い、溶解共沈吸着現象、及びアルファリコイル機構によって支配されていると考えられる。
柳瀬 信之; T.E.Payne*; 関根 敬一
Geochemical Journal, 29, p.1 - 29, 1995/00
被引用回数:25 パーセンタイル:49.42(Geochemistry & Geophysics)非常に風化した岩石-地下水系におけるウランの移行挙動を詳細に知るために、クンガラウラン鉱床の地下水の地球化学的研究を行った。クンガラ地下水の特徴は、中性のpH、酸化性、そして陽・陰イオンとしてMgと炭酸水素イオンが支配的なことである。鉱床中心では、ウラン濃度は周辺より3桁高かった。ウランの地下水中での化学形は、炭酸ウラニルイオンであると考えられる。得られた地球化学的データから、クンガラの地下水流は、上流の砂岩層に浸透した雨水が、鉱床に近接する断層を通して鉱床へ入り、鉱床中のウラン酸化物(ウラニナイト)を風化溶解し、鉱床から南東及び南方向へ流れていると考えられる。また、ウランの一部は、約100~150万年の間に鉱床の中心から約200m下流に移動していることが分った。
磯部 博志; 大貫 敏彦; 村上 隆*; F.G.Lafaye*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.353, 0, p.1211 - 1218, 1995/00
アフリカ,ガボンのオクロ地域は、世界で唯一天然で核分裂連鎖反応が起こったウラン鉱床の存在で知られている。原子炉ゾーンのうちのいくつかは地表から浅い位置にあり、風化に伴う酸化を受けている。オクロ鉱床は核分裂生成物を含む核種の移行挙動を理解するために重要なナチュラルアナログ研究サイトである。今回、オクロの原子炉ゾーン2の試料について、酸化に伴う生成物とウランの分布の関係について調べた。原子炉炉心ゾーン近傍の主に雲母から成る層では、雲母中で独立した粒子状を示す物と、それらを横切る脈状の2種類の酸化鉄鉱物が観察された。これらには、結晶度、ウラン量などに違いが見られ、生成時の地下水組成などに違いがあったと思われる。また、酸化チタンや硫化鉄の周囲にもウラン鉱物が存在し、これらの鉱物による局部的な効果がウランの固定に影響を与えていることが観察された。
磯部 博志; R.C.Ewing*; 村上 隆*
Mater. Res. Soc. Symp. Proc. Vol. 333, 0, p.653 - 660, 1994/00
オーストラリア,クーンガラウラン鉱床での風化帯におけるウラン鉱物の形成及び変質過程を解明するために二次ウラン鉱物の観察を行った。二次鉱床域の大部分では、Mgウラニルりん酸塩鉱物であるサレアイトが唯一安定であり、平板状の自形鉱物として広く観察される。鉱床母岩には副成分鉱物としてCaのりん酸塩であるアパタイトが含まれるが、二次鉱床域ではサレアイトの反応縁を持つものが観察された。しかし、Caウラニルりん酸塩であるオーチナイトは観察されなかった。また、グラファイト層の部分では、鉛や希土類を含むウラニルりん酸塩鉱物が観察された。これらの事実は、二次鉱床域におけるMgウラン鉱物の安定性、及びグラファイト層が元素の移行挙動に影響を与えていることを示していると思われる。
田中 忠夫; K.Sriyotha*; 神山 秀雄
JAERI-M 93-109, 16 Pages, 1993/05
Co,Sr及びCsの移行挙動と収着機構に及ぼす粒径及び風化の影響について研究した。異る粒径に破砕した未風化砂岩及び風化砂岩を用いたカラム移行実験を行い、3核種の移行挙動を調べた。さらに、各核種の移行を支配する収着機構を明らかにするため、pH5のHCl,CaCl,KCl,NHOH-HCl,K-oxalate及びHOの各水溶液を順に用いて収着核種の抽出を行った。3核種の分配係数は、粒径の増大に伴う比表面積の減少並びに固液相間での非平衡接触の発生のため、粒径の大きい砂岩が小さな値を示した。また、風化砂岩に対する分配係数は、未風化砂岩に比べ大きな値となった。支配的な核種収着機構が両砂岩で同じであったことから、風化砂岩の高い収着能は、風化作用によって生じる粘土鉱物等の有効な収着サイトの増に関係していることが示唆された。
湯佐 泰久; 亀井 玄人; 新井 隆
PNC TN8410 91-007, 18 Pages, 1990/12
本研究は天然の類似試料の長期変質挙動を調べる事により、人工バリア材の長期耐久性を評価することを目的とする。I. 対象試料の選定:天然の歴史試料は古いほどさまざまな要因が重複し、その環境条件も複雑でかつ変化し、把握できにくくなる。また、変質期間に関する情報も得られにくくなる。したがって、比較的若い、単純な履歴の試料を研究することとした。II. 研究の構成:(1)変質現象の調査、(2)環境条件の把握、(3)(組成差や環境条件の差を比較するための)サポート実験、を本研究の構成とする。III. 調査例:人工バリア材、すなわち、(1)廃棄物ガラス、(2)オーバーパック、(3)緩衝材、(4)埋め戻し材、の耐久性評価のために、それぞれ、(1)玄武岩質ガラスの風化変質、(2)炭素鋼の土壌腐食、(3)熱(接触)変成作用によるスメクタイトのイライト化作用、(4)コンクリート構造材の化学的劣化、の研究を実施している。なお、本論文はCEC主催第4回ナチュラルアナログ ワーキンググループミーテング(1990年6月 Scotland Pitlochry)での発表をまとめたものであり、CEC report n0 EUR 13014 ENとして製本・公表される予定である。
奥村 雅彦; 中村 博樹; 町田 昌彦
no journal, ,
住民帰還に向けて国が表土剥ぎ等の大規模除染を行い、その効果が確認されている。しかし、除染に伴って大量の除去土壌が発生し、その処理を巡って、仮置き場、中間貯蔵施設、最終処分場などの新たな負担が問題となっている。この問題に関連して、汚染土壌の減容化手法の開発や、貯蔵の際の安定性評価等が求められているが、放射性セシウムの土壌による吸着に関する基礎的知見が不足している。この事態を打開するため、第一原理計算を用いて放射性セシウムを選択的かつ不可逆的に吸着することが知られている風化した白雲母について解析を行った。その結果、風化が進んだエッジのみがセシウムとの高いイオン交換能を持つことを明らかにした。
鈴木 誠矢; 矢野 公彦; 渡部 雅之; 小泉 健治
no journal, ,
温度変動による燃料デブリの経年変化挙動を評価するため、熱膨張率および破壊じん性により代替物質を選定し、周期的な温度変動下でのクラック長さの変化を評価した。実際の燃料デブリが受けるとされる環境よりも過酷な温度変動条件ではあるものの、温度変動の影響により単位面積当たりの総クラック長さが増加することを確認した。
吉越 章隆
no journal, ,
放射光光電子顕微鏡(SR-PEEM)は、試料から放出された光電子をプローブする表面敏感なナノスケールの空間分解能を有する顕微鏡である。電子レンズによって像の拡大、縮小が容易であり、試料形状の観察とともに高エネルギー分解能X線吸収分光(XAS)による化学状態のピンポイント分析が可能である。試料の薄片化が不要であることから、対象物の"ありのまま"の姿を観察および分析できるなど試料走査型や透過型顕微鏡に無い多くの優位点を持つ。本講演では、福島第一原発事故で飛散した放射性Csの土壌中の吸着状態の解明に向けたSR-PEEMの応用例を紹介する。SR-PEEMの絶縁物に対する帯電という致命的な問題を試料表面に極薄膜を付加することによって克服し、Csが吸着した風化黒雲母に対して、明瞭なCsマップとCs M吸収端ピンポイントXASスペクトルの取得に成功し、Cs吸着機構に関する重要な知見を得た。本手法は、原子力分野のみならずナノテクノロジー研究などへの応用も期待されている。
辻 卓也; 松村 大樹; 小林 徹; 鈴木 伸一
no journal, ,
風化黒雲母, イライト、およびパイロフィライトのセシウム吸着構造をXAFS測定により明らかにした。層間にセシウムを吸着する風化黒雲母およびイライトではセシウム吸着量が低くなるにつれ第二配位の原子間距離が減少した。一方で表面・端面吸着のみのパイロフィライトでは濃度依存性は表れなかった。
岩森 暁如*; 小北 康弘; 島田 耕史; 立石 良*; 高木 秀雄*; 太田 亨*; 菅野 瑞穂*; 和田 伸也*; 大野 顕大*; 大塚 良治*
no journal, ,
若狭湾東方陸域に分布する江若花崗岩中の断層岩を対象とし、風化の進行度を表す指標であるW値について検討した。W値は、化学組成から計算される風化による寄与を表し、M値(苦鉄質成分の寄与), F値(珪長質成分の寄与)とともに、M+F+W=100%の三角ダイアグラムを用いて、母岩から断層岩(カタクレーサイト,断層ガウジ)の変化傾向を検討した。また、江若花崗岩と美濃丹波帯変玄武岩との地質境界の断層についても同様の検討を行い、江若花崗岩中の断層岩との特徴の相違について検討した。花崗岩(母岩)は、F値=94.2%, W値=4.9%で、断層岩試料は活断層・非活断層にかかわらずM値が約3%でほぼ一定であり、風化が進展するとF値が減少し、W値が増加する。変玄武岩(母岩)は、M値=88.2%, W値=6.6%で、カタクレーサイトはF値がほぼ一定で、風化が進展するとM値が減少し、W値が増加する。変玄武岩源断層ガウジではW値の増加に伴いF値の増加もみられ、ガウジ中に見られる花崗岩起源の石英フラグメントの混入と整合的である。W値への影響度とW値の変動傾向との整合性の観点から検討した結果、特にNaOとCaOがW値の増減に大きな影響を与えることが確認された。